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東京地方裁判所 平成8年(ワ)1240号 判決

東京都足立区島根三丁目二番五号

原告

株式会社ニッソー

右代表者代表取締役

市川實

右訴訟代理人弁護士

安原正之

佐藤治隆

小林郁夫

右補佐人弁理士

福田武通

福田賢三

福田伸一

埼玉県草加市氷川町一一〇〇番地

被告

株式会社トモフジ

右代表者代表取締役

友藤泰雄

右訴訟代理人弁護士

荒木孝壬

福屋登

太田輝義

右補佐人弁理士

武田賢市

主文

一  原告の請求をいずれも棄却する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

第一  請求

一  被告は、別紙物件目録二記載の水槽を製造又は販売してはならない。

二  被告は、原告に対し、金一億〇一五八万二〇〇〇円及び内金一三九九万二〇〇〇円に対する平成八年二月一四日から、内金八七五九万円に対する平成一〇年六月一九日から、それぞれ支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

第二  事案の概要

本件は、原告の製造販売する水槽の形態が原告の周知な商品表示であり、これと類似する水槽を被告が製造販売している旨原告が主張して、被告に対し、不正競争防止法三条一項、四条、二条一項一号に基づき、被告水槽の製造販売の差止め及び損害賠償を求めた事案である。

一  争いのない事実

1  原告及び被告は、それぞれ水槽の製造、販売等を業としている。

2  原告は、昭和六一年六月ころから、別紙物件目録一記載の水槽(以下「原告水槽」という。)を「ニュースティングレー」の名称で製造、販売している。

3  被告は、業として、平成七年四月ころから、別紙物件目録二記載の水槽(以下「被告水槽」という。)を「NEWトモフレックス」の名称で製造、販売している。

被告水槽は、容量の違いにより、YT-一〇一(水槽の前面幅六〇センチメートル)とYT-八〇三(水槽の前面幅四五センチメートル)の二種類がある。

4  原告水槽、被告水槽とも、九〇度コ字状に折り曲げた、一枚からなる前面及び側面ガラスを用いているため、前面左右端には、縦柱が存在しない。

二  争点

1  原告水槽形態の周知商品表示性

(原告の主張)

(一) 原告水槽の特徴は、九〇度コ字状に折り曲げた一枚の前面及び側面ガラスを用いていることから、従来水槽の前面左右端に存した縦柱を取り去った形態にある。

従来の水槽は、上枠、下枠の四囲に四枚のガラスをその切り口が直交するようにはめ込んだ上、ガラスとガラスの接合部を保護する目的で、水槽の四隅に四本の縦柱(保護柱ともいう。)を配置していた。そのため、四隅の縦柱の存在により水槽内の鑑賞が妨げられていた。

原告水槽は、長年の研究により、コ字状に折り曲げた一枚の前面及び側面ガラスを採用したため、前面及び側面からの鑑賞において飛躍的に透明感、開放感のあるデザインとなり、どの角度からも水槽内を鑑賞することができるので、水槽としての機能を超えて室内インテリアとして評価を得るようになった。

なお、被告が従前から製造販売する水槽は、正面ガラスの両側面のみを折り曲げて側面ガラスの端部と接着剤により接合させて継ぎ目を設けたものであり、原告水槽とは形態が異なるし、被告自身、水槽の強度維持を強調してこれを販売しているから、それにより原告水槽の形態の新規性が失われることはない。

(二) 原告水槽の特徴的形態は、次のような事情により、遅くとも被告水槽の販売開始時である平成七年四月ころまでには、原告の商品表示として周知であった。

原告水槽は、昭和六一年六月ころから、熱帯魚の専門雑誌である「ブイッシュマガジン」、「アクアライフ」及び「ペットワールド」に広告の掲載を開始し、平成元年八月まで大々的に宣伝を行った結果、爆発的人気を得た。

その上、この種の水槽に関して競業メーカーが存在しなかったこともあり、原告水槽の生産売上個数は、発売開始時の二万四三九六個に比し、平成三年には約五倍の一一万五六八〇個、平成六年には約九倍強の二二万二五七〇個である。原告の販売する全水槽は五二、三パーセントの市場占有率を有している。

さらに、原告水槽の優秀性は、「財界」、「新人物論」、「ペットバイヤー」、「インフオーダイヤ」、「週刊ダイヤモンド」及び新聞等でも取り上げられ、高い技術的評価と需要者の人気を得ている。また、原告水槽は、昭和六二年一〇月には、通産省から業界で初めてグッドデザイン商品に選定された。

(三) 直方体のガラス水槽において、ガラスの枚数を何枚にするか、ガラスの形態をどのようにするか、ガラスをどの部位で接合させるか、水槽の柱(保護柱)の本数や設置部位をどのようにするか等は選択可能であり、技術的に必然であるとはいえないので、原告水槽の形態は、技術的機能に必然的に由来するものではない。

(四) 原告水槽は、原告登録意匠の実施品であり、また、原告特許の実施品である。不正競争防止法と意匠法とは、保護の内容、法益、要件が異なるから、原告水槽の形態について、意匠法上の保護を受けられるからといって不正競争防止法上の保護を受けられなくなるものではない。

(被告の反論)

(一) 昭和五、六〇年当時、観賞魚用水槽の売れ行きが増加したことに伴う新しい商品企画として、観賞魚用水槽の前面左右端にある二本の縦柱を除き、従来から広く知られている曲げガラスの技術を応用することで、前面ガラスと左右両側面ガラスとが一体に連続したコ字状の曲げガラスを用いれば、観賞魚用水槽としての鑑賞機能が向上するということは、原告のみならず、あまねく水槽業者が認識していたことである。

また、一枚のガラス板の両側を同方向に折り曲げてコ字状の一体ガラスとすることは、従来から曲げガラス加工と呼ばれて、各種製品に広く利用されていたものであり、既に観賞用水槽としても利用されていた。

したがって、原告水槽の形態は格別目新しい特徴的なものではない。

(二) 被告は、被告水槽を製造販売する以前の昭和六二年から、側面接続型曲げガラス水槽を製造販売し、水槽業界及びユーザーの間で好評を博し、現在に至っている。右側面接続型曲げガラス水槽は、前面ガラスの両側部を九〇度方向に折り曲げた円弧状折り曲げ隅部と側面ガラスとを接着剤により接着するものである。なお、被告水槽は、この側面接続型曲げガラス水槽の形態を基に製造された。

この側面接続型曲げガラス水槽は、被告により昭和六一年九月に実用新案及び意匠登録出願され、また、昭和六二年六月から熱帯魚の専門雑誌「フィッシュマガジン」において広く日本全国に宣伝広告されて販売され、現在に至っているから、被告の製造販売したこの種の曲げガラスを使用した水槽も、昭和六二年当時から、被告製の曲げガラス水槽としてユーザーの間に知られていた。

したがって、曲げガラスを使用した水槽がすべて原告製品であるという認識が水槽業界及びユーザーの間に周知の事実として存在していたわけではない。

(三) 従来の観賞魚用水槽は、前面の両側に二本の柱が存在し、水槽の内部を鑑賞する際の妨げになるという問題があったが、昭和五〇ないし六〇年ころから熱帯魚の飼育ブームを迎え、右二本の柱をなくし、水槽内部に対する透視性を向上したいという要望が高まってきた。そこで、従来から知られている曲げガラスを水槽に利用することが考えられた。

そこで、被告は、昭和六〇年当時、曲げガラスの利用をガラスメーカーに相談したところ、曲率の小さい曲げガラスは簡単にはできず、一枚のガラスを使用して前面ガラスの両側に側面ガラスが一体に連続するようにコ字状に深く折り曲げる加工(深曲げ)は難しいが、前面ガラスの両側部分を若干延長して、延長部分に短い幅の折り曲げ部を浅く設けるような加工(浅曲げ)は可能ということだった。そこで、この浅曲げガラスを利用して、被告は、昭和六二年、前記側面接続型曲げガラス水槽の製造販売を開始した。しかし、これには、接着剤による継ぎ目があって目障りであるという問題点があった。

その後、被告は、平成七年にガラスメーカーから水槽に利用する深曲げガラスの製造が可能であるという情報を得て、様々な試行錯誤を繰り返した結果、曲げガラスの破損率を大幅に低下することができ、被告水槽の製造販売を開始した。

原告は、これまで一般的に困難とされてきた一枚ガラスに九〇度の曲げ加工を行うことにより前面左右端の縦柱を除去することができ、これにより鑑賞面に広がりのある観賞魚用水槽の技術開発に成功した旨主張する。しかし、被告も、このように、昭和六二年当時から、側面ガラスに継ぎ目はあるが前面左右端の縦柱を除去した水槽を製造し、ついで、ガラスメーカーが開発した技術で、平成七年四月ころから一枚のガラスをコ字状に折り曲げることにより、継ぎ目のない被告水槽を製造販売するに至った。このように、原告、被告は、いかにして継ぎ目のない一枚のコ字状曲げガラスを使用して簡単に壊れない水槽を造るかという技術的な面で競い合ってきたものである。

商品形態が技術的機能に由来するものについては、商品表示から除外する必要がある。なぜなら、技術は万人共有の財産であり、ただ、そのうち新規独創的なものに特許権、実用新案権が付与され、存続期間を限って独占を許すことがあるにすぎないのに、技術的機能に由来する商品形態を商品表示として不正競争防止法上の保護を与えれば、この技術を一種の永久権として独占を許すという不合理な結果を生じるからである。

2  原告水槽と被告水槽の類似性及び混同

(原告の主張)

(一) 原告水槽、被告水槽とも、九〇度コ字状に折り曲げた一枚の前面及び側面ガラスを用い、前面左右端に縦柱が存在しない形態のものであるから、両者が類似し、その結果混同が生ずることは明らかである。

両者の形態を比較すると、被告水槽の上部には透明の蓋があることと水槽の底面の模様とが若干異なるが、その他は全く同一である。

需要者が水槽を購入する場合に、以下の理由により、蓋の形態により水槽を選択することはない。〈1〉水槽を選択する場合、視界を遮ることなく熱帯魚を観察できるかが需要者の最大の関心事であるから、付属的な蓋の形態は需要者の関心を引かない。実際、小売店の店頭においては、水槽は、蓋の存在、形態が需要者の注目を引くような体裁で並べられるのではなく、むしろ熱帯魚を観賞する水槽本体の形態をアピールするように並べられるのが通常である。被告水槽のパンフレットでも、蓋についての説明は付従的なものである。〈2〉水槽を使用する場合は、通常、水槽の上枠の上に蛍光灯及び濾過装置を載せるから、この意味からも、需要者が蓋の形態を主眼として水槽を購入することはない。〈3〉蓋板は、四隅に柱を有する従来水槽のころから各水槽メーカーが製造販売しているものであり、安全上、水槽に蓋板を付することは業界指導ともなっているから、特に被告独自の物ではなく、一般的な物にすぎない。

また、水槽の底面は、水槽の機能上需要者が通常関知しないものであるから、その模様は主要な部分ではない。

したがって、原告水槽と被告水槽の形態のうち、需要者の注目を引く主要な部分は、全く同一である。

(二) 原告水槽と被告水槽とは、以下のような両者の販売形態から、商品又は営業の混同を生ずることは明らかである。

原告と被告の営業は競合しているため、原告水槽も被告水槽も同一小売店で販売され、ほとんどの場合隣り合う状態で陳列されている。そして、両者とも、水槽の上下枠の部分を厚紙で覆い、曲げガラス部分を露出させ、ユーザーに右部分が目に付きやすい包装となっている。

被告水槽本体の前面右下には、黄色地に黒字で「4m\m特殊曲げガラス使用」との表示がされているが、これは原告水槽と同一の形態を表す文言である。本体の左上及び右下には被告水槽の商標が記載されているが、比較的小さく目立たない色使いである。

両者の水槽内には付属品がセットされているが、これは通常必要な物が添付されているにすきない。

(三) 被告は、従来製造販売していた水槽の形態を原告商品表示と同一のものに変更した上、原告商品表示が全国に周知になった後に発売を開始した経緯からみても、原告商品表示にフリーライドする意図を持って販売したことが明らかである。

(被告の反論)

(一) 被告水槽は、上枠の前面側に折り畳み式の支持アームによって開放状態を維持できるような開閉可能な前蓋を備えている。

被告水槽は、本意匠登録第八五八五七四号(平成二年七月四日登録)の類似一号として、平成七年八月二四日意匠登録されている。これらの水槽の意匠が創作性を認められ登録された理由は、右前蓋に特徴を有するからである。このように、被告水槽の形態は、原告水槽とは異なるものである。

(二) また、被告水槽は、右前蓋を備えるので、ユーザーは、これを開放することにより、毎日の給餌作業や水槽内の清掃管理が行いやすいという利点を有する。被告水槽に対する需要の増大は、右前蓋により、飼育管理を従来の水槽に比較して容易に行うことができる利点を有するためであり、被告は、被告水槽を販売店を通じて販売するに際して、このような利点をセールスポイントとしてユーザーに訴えて、被告水槽が他の水槽と異なる点を需要者に周知させている。

被告水槽は、価額が一万ないし三万円もする高額な商品であるため、包装されて具体的な商品の形態が認識できない状態で店頭に陳列されている場合であっても、需要者は、必ず、商品の特徴、利点を店員に質問確認した上で、商品を選択するはずである。また、被告水槽の包装用カバーキャップにも、蓋板の機能的特徴が図解されている。

(三) 以上のとおり、被告が被告水槽を製造販売することは、原告水槽と混同を生じさせる行為とはいえない。

3  損害額

(原告の主張)

被告が故意に被告水槽を製造販売して原告水槽との混同を生じさせたことにより、原告は損害を被った。

被告水槽の販売開始から平成一〇年五月末日までの販売高は、一〇億一五八二万円であるところ、被告の利益はその一〇パーセントである一億〇一五八万二〇〇〇円を下らないから、右同額が原告の受けた損害額と推定される。

第三  争点に対する判断

一  争点1(原告水槽形態の周知商品表示性)について

1  争いのない事実に証拠(甲一、三ないし二七、三三ないし四一、乙一一ないし三〇、三二ないし三六)及び弁論の全趣旨を総合すると、以下の事実が認められる。

(一) 原告水槽は、九〇度コ字状に折り曲げた一枚の前面及び側面ガラスを用いたため、従来水槽の前面左右端に存した縦柱を取り去った形態を備えている。

原告が原告水槽の販売を開始した昭和六一年六月より以前に存在した水槽の形態は、上枠、下枠の四囲に四枚のガラスをその端部が直交するようにはめ込んだ上、ガラスとガラスの接合部を保護する目的で、水槽の四隅に四本の縦柱(保護柱ともいう。)を具備していたものが多かった。このような水槽は、四隅の縦柱の存在により水槽吋の鑑賞が妨げられていた。

原告水槽は、長年の研究の成果により、一枚のガラスを使用した曲げガラス加工が可能どなったため、前面及び側面から自由に水槽内を鑑賞することができるように前記の形態を採用したものである。

(二) 原告は、昭和六一年六月から原告水槽の製造販売を開始し、現在に至っている。

原告水槽の生産売上個数は、発売開始時には約二万四〇〇〇個であったのに対し、平成三年には約一一万五〇〇〇個、平成六年には約二二万三〇〇〇個である。

原告は、原告水槽の宣伝のため、昭和六一年五月から平成元年八月まで、熱帯魚の専門誌である「フィッシュマガジシ」、「アクアライフ」、及び熱帯魚の業界誌である「ペットワールド」、「ペット経営」に、広告を掲載した。また、原告水槽については、「財界」、「新人物論」、「ペットワールド」、「ペットバイヤー」、「インフォーダイヤ」、「週刊ダイヤモンド」等の雑誌及び「日経新聞」、「日経産業新聞」等の新聞でも取り上げられた。さらに、原告水槽は、昭和六二年一〇月には、通産省からグッドデザイン商品に選定された。

(三) 他方、被告は、昭和六二年から、側面接続型曲げガラス太槽を製造販売している。これは、前面ガラスの両側部を九〇度方向に折り曲げた円弧状折り曲げ隅部と側面ガラスとを接着剤により接着することにより、水槽前面の保護柱を取り除いたものである。

被告は、右水槽について、昭和六二年六月から熱帯魚の専門雑誌「ブイッシュマガジン」において宣伝広告している。

また、従前から、保護柱を除去した水槽の意匠等が登録されている。

2  右認定した事実を基礎として、原告水槽の商品形態が、被告水槽の販売開始時である平成七年四月ころまでに、原告水槽の商品表示として周知性を取得したといえるか否かについて検討する。商品の形態は、本来それ自体としては商品表示性を有しないが、その形態が極めて独特のものであり、特定の商品の形態として長期間継続的にかつ独占的に使用され、その形態自体について強力な宣伝がされた等の事実により、商品の形態自体が周知商品表示性を取得する場合があり得る。そこで、右の観点かち、原告水槽について、そのような事実があったといえるか否かを判断する。

ところで、原告は、原告水槽の形態上の特徴は、九〇度コ字状に折り曲げた一枚の前面及び側面ガラスを用いたため、従来水槽において前面左右端に存した縦柱を除去した点にある旨主張する。

しかし、原告主張に係る原告水槽の右形態上の特徴が、その特徴をもって、原告水槽の商品表示となり、かつ、その点が周知であると解することはできない。その理由は以下のとおりである。

まず、原告水槽のように、直方体を基本形状とする鑑賞魚用水槽において、前面左右端部の縦柱を除去した構造、形状は、目的達成のための技術的手段が困難であるか否かの点はさておき、鑑賞目的及び美的観点からは、極めてありふれた構造、形状ということができ、したがって、その選択した形態自体が、格別独特のもの、需要者に強い印象を与えるものということはできない。

次に、被告においても、昭和六二年ころから、前面ガラスの両側部を九〇度方向に、円弧状に折り曲げて、隅部と側面ガラスとを接着剤により接着することにより、水槽前面の保護柱を取り除いた、いわゆる側面接続型曲げガラス水槽について、製造販売を開始していること、また、右水槽について、昭和六二年六月ころから、熱帯魚の専門雑誌「フィッシュマガジン」で宣伝広告していること、さらに、被告は、昭和六一年四月、保護柱を除去した水槽について、意匠登録出願をして、登録されていること等に照らすならば、直方体を基本形状とする鑑賞魚用水槽において、前面左右端に存した縦柱を除去した形態は、原告水槽に特有のものと解することはできない。

このような点を総合すると、原告主張に係る原告水槽の形態上の特徴が、原告水槽の商品表示であり、そのことが周知であると判断することはできない。

確かに、原告水槽の生産販売個数は販売開始当初に比べ急増していたこと、原告水槽がグッドデザイン賞を受賞した実績があることは、前記のとおりであるが、このような事実があるとしても、前記認定判断を左右するとまではいえない。

(なお、証拠(甲二、二九ないし三二、五三、乙三九)によれば、被告水槽には被告の商品又は商品群を示す標章である「NEW TOMOFLEX」ないし「TIAX」が付されており、被告水槽の包装にも、「NEW TOMOFLEX」ないし「TIAX」が大きく表記されていることが認められ、右販売態様に照らすと、被告水槽の販売が原告水槽と誤認混同を生じさせるものと解することはできない。)

二  したがって、その余の点について判断するまでもなく、原告の本件請求は、いずれも理由がないから、これを棄卸する。

(裁判長裁判官 飯村敏明 裁判官 八木貴美子 裁判官 沖中康人)

物件目録一

一、写真の説明

写真(一)は水槽の正面、写真(二)は水槽の背面、写真(三)は水槽の左側面、写真(四)は水槽の右側面、写真(五)は水槽の平面、写真(六)は水槽の底面、写真(七)は正面斜視(蓋なし)、写真(八)は写真(七)の一部拡大写真。

二、符号の説明

1は水槽、2は上枠、3は下枠、4は柱、5は全面ガラス、6は背面ガラス

〈省略〉

〈省略〉

物件目録二

一、写真の説明

写真(一)は水槽の正面、写真(二)は水槽の背面、写真(三)は水槽の左側面、写真(四)は水槽の右側面、写真(五)は水槽の平面、写真(六)は水槽の底面、写真(七)は正面斜視(蓋あり)、写真(八)は水蓋を除去した水槽の正面斜視、写真(九)は写真(七)の一部拡大写真。

二、符号の説明

1は水槽、2は上枠、3は下枠、4は柱、5は全面ガラス、6は背面ガラス

〈省略〉

〈省略〉

〈省略〉

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